一般社団法人静岡県土木施工管理技士会

Home >> 技術情報 >> 平成16年度 静岡県との懇談事項について


平成16年度 静岡県との懇談事項について

平成16年11月25日(木)、静岡県土木部・農業水産部との技術懇談会を静岡県建設業会館で開催しました。

この懇談会には、土木部技術管理室長始め3名、農業水産部工事検査室長はじめ3名が出席、当技士会からは副会長、常務理事、技術委員等14名が出席し、次の項目について懇談を行いました。

懇談項目

  • 土木工事成績評価要領の運用について
  • 仕様書等の運用について
  • 設計について
  • 工事管理について
  • 最近の話題について

この懇談結果の概要については、次のとおりですので参考にして下さい。なお、ご意見、ご要望等がありましたら、事務局までお寄せ下さい。

▲TOP

平成16年度 静岡県との懇談事項(回答)

  1. 土木工事成績評価要領の運用について
  2. 仕様書等の運用について
  3. 設計について
  4. 工事管理について
  5. 最近の話題について

1. 土木工事成績評価要領の運用について

1) 加点項目(高度技術・創意工夫・社会性等)は工事場所・工事規模・工事内容等を考慮した評価をお願いいたします。
また、これまでの具体事例による「加点項目の評価のポイント」をご教示願います。
山間部工事、演習場内工事、浚渫工事、舗装工事、海岸工事、小規模・小額工事
(土木)
すべて土木工事成績評価要領に基づいて実施している。
評価のポイントは要領に基づいて行っていくが、これまで若干甘いものもあった。たとえば「削孔時に粉塵対策として水を使用した」、「急傾斜地の作業で命綱を使用した」などが見られた。
創意工夫・社会性等では、規模に応じた内容で良く、コスト負担をしてまでやる必要はないと思う。
事務所間で差が出ないよう統一した評価を目指している。
(農水)
加点はCAD使用、汚濁防止処理、悪条件の克服などがある。
2) 諸事情によりマイナス評価となることがあります。無機質に評価するのではなく、背景を考慮し公平な判定をお願いいたします。
遡り変更契約のためコリンズ登録が10日以内とならなかった。
休日工事を実施して完成させたが評価はマイナスであった。
低価格入札工事であるため工事評価は悪いと言われた。
(土木)
監督員に事情を十分説明してもらいたい。
工事により休日や夜間工事が予想される場合は、施工計画に記述してもらいたい。
低価格が理由で低い評価とすることは無い。
(農水)
適切な変更を指導している。
休日作業の理由を明確にすればマイナス評価はしない。
低価格が理由で低い評価とすることは無い。
3) 県発注工事を直轄工事と同じ基準で評価するのはいかがかと思います。直轄工事とは規模・内容・期間などが異なり、また管理方法も異なります。早い時期に県の工事実態に整合した制度を確立するようお願いいたします。
(土木)
国の方針で、全国統一方式での評価とデータベース化を目指している。このため県独自の基準は考えていない。
(農水)
小額工事(当初請負金額250万円未満)は、H16年10月から簡易方式により評価している。

▲TOP

2. 仕様書等の運用について

1) 「仕様書に基づく管理」の徹底をお願いいたします。
担当者・事務所ごとに運用方法が異なる場合があります。
仕様書等の運用を県内で統一できないでしょうか。
小規模・小額工事の要領の趣旨は簡素化であると思います。
しかし、一般工事と同様の管理を要求される場合があります。
写真管理基準以上の提出を求められます。
段階確認で頻度以上および対象外項目の実施を求められます。
(土木)
小規模・小額工事も含めて、すべて仕様書どおりの施工および管理で良い。
しかし、説明責任という観点から請負者として必要な書類は整理し、検査時に提示願いたい。たとえば、不可視部分の写真、使用材料の証明など。
これら管理方法は、段階確認時期などを含めて監督員と確認を行い、施工計画書に記述願いたい。
(農水)
基本は土木部と同じである。説明責任はすべてに共通する義務と考えているので対応を願いたい。
小規模・小額工事について、省略可能な書類がすべて提出不要とは限らない。2000万円未満でも重要工事・工種は提出を求めるものがある。
実施する管理は施工計画書に記述願いたい。
2) 完成時提出書類の県内統一をお願いいたします。
施工体制台帳の整備は基準どおりでよいのでしょうか。
基準以下でも、整備すれば評価の加点対象とする事務所もあるようです。
(土木)
完成時の提出書類は、監督要領の「完成図書チェックリスト」に基づく内容でよい。
下請け届け・施工体制台帳・施工体系図の整備は、県からの通達に基づき、すべての工事で対応することとしている。
(農水)
土木と同様である。

▲TOP

3. 設計について

1) 「設計照査のガイドライン」「工事監理連絡会」の運用状況をご教示願います。
(土木)
技術監理室では、「設計照査のガイドライン」を部内の技術力向上策メニュー9項目の一部にも採用しているものであり、全技術職員で対応するよう考えている。この技術向上策はH16年4月からの施行であり、第二四半期までの実績を集計し、必要なら見直しも行う。
請負側でも「設計照査のガイドライン」を有効に活用するよう願いたい。
また、技術対応は、担当の監督員、監理技術者等だけのものとせず県及び請負者共、夫々の組織として対応・解決するように願いたい。
(農水)
橋梁上下部工・水路トンネル工等で「工事施工検討会」を開催しているところであり今後も継続する。
(H14: 5件、H15: 1件)
「設計照査のガイドライン」はH16年10月から施行を開始したので職員が適切に対応するよう説明を行っていく。
2) 現場に整合した設計と「条件明示」をお願いいたします。
同時に「設計照査のガイドライン」に基づく変更対応をお願いいたします。
(土木)
設計は発注者の責任と考えている。下記の個別事例については監督員とよく協議をして解決願いたい。
(農水)
設計内容については、設計業務照査、事務所技術検討会及び発注前チェックリストにより現場との整合に努めている。
H16年10月から「設計照査のガイドライン」を施行し、活用しているので、監督員と協議願いたい。
最終段階での一括変更は、コリンズ登録、協議書等の遡り期日作成など管理上の課題が発生します。その都度の協議変更をお願いします。

施工機械が現地に整合しないのですが変更されません。

岸工事で、河床下掘削の土留めが「予算がない」とのことで変更を認められません。

占用物件移設の協議が遅れたため、手戻り(新設歩車境界ブロックの取り壊し再施工)と手待ち(2ヶ月)が発生した。

平面図1枚の発注で、縦横断計画を含む計画を受注後に行ったため、工程管理が困難になった。

現場不一致のため変更計画を提出したが、回答が遅く工期延期となった。
延期理由も作成させられた。

柱状図が一致しないので試験杭施工をしたが変更されない。

安全を考慮した設計を願いたい。(もたれ擁壁を重力式に)
3) 書面による変更指示および協議の回答を速やかに行うようお願いいたします。
工事執行規則28条3項(2週間条項)にも記述されています。
企業経営管理上も必要な文書です。対応をお願いいたします。
(土木)
設計変更は約款18条事項であり、「設計照査のガイドライン」もその範囲と考えているので、文書による協議の徹底を指導していく。
同時に、請負側も適切な時期に約款・仕様書にもとづいた文書等を確実に提出することを徹底願いたい。
(農水)
変更指示及び協議の回答は書面により行うこととなっており、そのように説明してきた。H16年4月に「現場監督員必携(共通編)」を配布して、文書による協議の徹底を図っている。

▲TOP

4. 工事管理について

1) 発注前に各種協議・調整(地元説明を含む)の実施をお願いいたします。
地元・関係機関協議が不十分で、着手後の協議に時間を要し工程を圧迫した。
(土木)
発注前協議に努めているが、諸般の事情で「見込み」発注となる場合もあるのでご理解願いたい。
(農水)
地元・関係機関との協議、調整が完了していることをチェックリスト等により確認したうえで発注することとしており、基本的には協議等が未了の工事はないと思うが、再度周知徹底する。また、発注後に問題等が発生する場合もあるのでご理解願いたい。
2) 側点数が少なくても工程能力図を要求されます。
統計管理手法の原則に基づいて、基準どおりとするようお願いいたします。
(土木)
管理基準(10点以上)どおりでよい。施工計画書に作成の有無を記述願いたい。
(農水)
土木と同様である。
3) 片側管理基準値の工種の場合、仮の上限値(または下限値)を設定して能力管理することとしていますが、片側管理基準値との整合性をご教示願います。
(土木)
仮の上限値(または下限値)は要領どおりでも良いし、技術・コスト等を考慮して「社内規格」として別途設定し、管理しても良い。高度技術の範囲とも考える。
方法は施工計画書に記述願いたい。
(農水)
土木と同様である。
4) コンクリートダムの天端注水検査は、1.5m以内に打継ぎ目がない場合は省略とするようお願いいたします。
(土木)
検査監会議で検討する。
(農水)
打継ぎ目処理の確認が目的であり、1.5m以内に打継ぎ目がない場合は、天端注水検査を行わない。それ以下にある場合は、位置を変えて側面から削孔するなど何らかの方法で確認する。
その他
(土木)
請負者は、工事目的を十分理解して適切な管理を実施願いたい。
たとえば、河川工事で河川幅を管理していない例があった。
また、規格の無いものは自社で設定し、監督員の確認を得て施工計画書に記述して管理するように願いたい。
5) 適切な工期の設定と条件明示をお願いいたします。
(土木)
適切な工期の設定を行うよう努めている。
工期延長にともなう管理費の変更は基準によりできない。
諸条件により着手できない場合の技術者の運用は、協議・承諾により行うよう指導をしている。
「専任を要しない」は協議書等書面により確認すればよい。
休日作業は背景を考慮して評価している。監督員および検査員に良く説明願いたい。
一時中止は理由があれば可能であるが、契約時に監督員に状況を確認願いたい。
(農水)
工期の設定については、現場条件を考慮するよう、また、協議未了の状態で工事発注しないように指導しているが、再度周知する。ただし、不測の事態が発生する場合もあるのでご理解願いたい。
各事例に対しては、土木と同様である。
現場条件(冬季養生、日当たり施工量等)、関連協議状況(今後、未解決等)を考慮して工期設定を願います。

工期延長は、現場管理費の負担が増大します。
発注側の理由による工期延長の場合は、現場管理費の変更をお願いします。

指示待ち等で休日作業や夜間作業を余儀なくされます。その結果が低評価では不合理と思います。適切な発注および協議対応を願います。

契約工期は十分すぎるが、関連工事等の調整・施工待ちで着手できず技術者の配置が困難となっています。
選任期間の弾力的な運用をお願いします。

契約着手H16. 2. 17 完成H16. 3. 15 変更完成H16. 8. 31
7. 31現在未着手です。理由は用地未解決です。着工予定は11月とのこと。
経費は負担していただけるのでしょうか。

▲TOP

5. 最近の話題について

1) 電子納品

基準およびスケジュール等をご教示願います。
(土木)
別紙スケジュールで予定している。
現状は、特記による写真管理のみ実施している。
写真は基準どおりの管理でよく、プリントアウトの必要は無い。ただし、着前と完成はプリントを願いたい。
段階確認記録をスキャナーで電子化した例があるがそこまで要求していない。
電子化は、請負者の工事管理書類の省力化・簡素化も目的のひとつであるが、請負者が検査時等で、電子データーより紙面等の方が効率的であると考えるものはプリントアウトしても良い。
ただし、完成時の納品は、監督員と協議して、基準に基づいて提出すること。
また、現場で発生する問題は、監督員の臨場・立会いにより解決することを原則とする。ただし、休日作業届け等電子化に馴染むものはメールで処理し、効率化を図ることなどの取り組みを願いたい。
(農水)
基準は国の「電子納品要領」と同じである。
スケジュールは土木と同じである。
2) ISO準用工事

国の対応が変化しています。県の方向をご教示願います。
(土木)
本年度も試行している。試行として段階確認の省略を検討している。
(農水)
土木部と同じである。
3) VE制度

H15年度の実績をご教示願います。
(土木)
対象は入札時が1件、契約後が111件であるが提案は0件である。
審査手続きの簡略化が必要とも考えられる。
(農水)
対象は契約後が農地で23件、森林で9件であるが提案は0件である。
コスト評価だけではなく、「施工のノウハウ」の評価としてはいかがでしょうか。地元業者ならこその提案をご検討いただき、公共事業のイメージアップ策としてはいかがでしょうか。
地域住民感情への配慮
地域状況(農業等の生産活動・観光事業・自然環境等々)への配慮
(土木)
VEはコストダウンが目的であり「施工のノウハウ」もコストダウンになればVE対象となる。
イメージアップ策として有効であれば、コストアップ分は変更対象として協議を行ったらと考える。
(農水)
制度とコストの考え方は土木と同じである。
4) 入札方式

公募型等の応募要件のうち、「10年以内の技術経験者」について「10年以内」の条件を撤廃するようお願いいたします。
(土木)
最新の技術を要求しているものであり撤廃は考えていない。
(農水)
土木部と同じであるが、状況を見て検討する。

地元企業では年間の実績工事量・内容に限界があり、保有技術者数やそれぞれの技術経験には限度があります。
公募等で「10年以内の技術経験者」を要求されても、配置上困難な場合があります。
支店業者とはおのずから差があり、地元企業には不利な条件です。
国交省の配置要件は「同種工事経験技術者」であり、「10年以内」の条件を適用していません。

5) ユニットプライス方式国では

「ユニットプライス方式」の実施を予定しています。
県のお考えをご教示願います。
(土木)
発注者としては魅力のある方式と考えているが、適用は今後の検討課題である。
(農水)
土木部と同じであるが、状況を見て検討する。
6) その他
(土木)
個別の規格値は幅を持つものであり、積み上げると目的物の最も重要な設計値(道路改良の幅員、護岸工事の河川幅等)に影響を及ぼす場合がある。
規格値は必ずしも仕様書にとらわれず、工事目的物を把握し、適切な管理規格値を設定して管理を実施してもらいたい。
(農水)
負傷事故がH16年度3件(H15年度負傷事故6件、死亡事故4件)発生している。
このうち交通事故が2件連続しているので対策の指導を願いたい。
また、「4H/月の安全訓練」が室内での教育が中心となっているが、工事内容に即した「訓練」とするよう改善を願いたい。

▲TOP


■ 別紙:静岡県電子納品実施計画

静岡県では各部局ごとに、下記のスケジュールにより実施する予定です。

※各表に記載している金額は、設計価格です。
工事完成写真関係の電子納品
工事文書関係の電子納品
委託業務の電子納品

静岡県電子納品実施計画 PDFファイル
(FileSize: 37,835byte)

▲TOP

Copyright(C) 一般社団法人静岡県土木施工管理技士会. All Rights Reserved.