一般社団法人静岡県土木施工管理技士会

Home >> 技術情報 >> 平成15年度 静岡県との懇談結果について


平成15年度 静岡県との懇談結果について

「土木工事技術研修会」を開催

土木工事技術研修会

当技士会は、2003年11月20日静岡県建設業会館で、静岡県土木部技術管理室・技術指導室及び農業水産部工事検査室と「土木工事技術研修会」を開催しました。

静岡県から次のとおり6名が、技士会からは、会長始め理事、技術委員11名が出席し、日頃土木建設業界が課題としている「仕様書・管理基準」等6項目について、率直に意見交換を行いました。

この懇談結果については、静岡県のご了解をいただいたので、土木工事を推進する上での参考のため、懇談項目毎にこの概要を掲載します。

なお、平成16年度も、今年度と同様に研修会を開催する予定としているので、積極的なご支援、ご協力をお願いします。

■ 静岡県の出席者名

静岡県土木部技術指導室 室  長 伊藤 文雄 様
検査監 桜井   実 様
静岡県土木部技術管理室 主  幹 伊藤   孝 様
主  幹 渡辺 健二 様
静岡県農業水産部工事検査室 室  長 河邊 昭男 様
主  幹 絹村 敏美 様

▲TOP

平成15年度 静岡県との懇談事項(回答)

  1. 仕様書・管理基準について
  2. 工事成績評価要領について
  3. 設計及び設計変更について
  4. 入契法について
  5. VE提案・ISO適用制度について
  6. 工事管理について

1. 仕様書・管理基準について

1) 一部の担当者、事務所での独自運用(横出し・上乗せを含む)が見られます。
仕様書・管理基準にもとづく管理の徹底をお願いします。
段階確認・測定頻度・小規模工事の扱い等
(土木)
目的物に応じて上乗せ等をする場合もある。施工計画立案時に十分協議をして管理基準・方法を定めてもらいたい。
(農水)
基本は土木部と同じであるが、仕様書に基づいて管理するよう指導している。
2) CDを書き込み・編集等の利用ができるようになりませんか。
国交省では、エクセルで取り出せるようになっている。
(土木)
様式については検討する。
(農水)
土木部と同じ。
3) コンクリート
a) 水セメント比の規定による対応をご検討願います。
(1) JIS規格外品として管理する。
(2) 1ランク上のJIS製品を使用する。
(3) 実績を優先し、従来のままとする。
(土木)
(1) (2)のいずれでも良い。(3)は不可である。
(農水)
本年10月10日から、土木部と同様の適用を実施している。
b) 残存形枠工法を施工しましたが、テストハンマー管理のためにリフトごとに一部を普通形枠で施工するよう指示がありました。
このため足場も施工しましたが設計に反映されませんでした。
今後のために、残存形枠工法の施工基準の指導をお願いします。
(土木)
天端で管理する様に通知をしている。
(農水)
テストハンマーは天端管理で良いが、治山工事では50立方メートル毎に現場養生テストピースの破壊試験を特記に定めている。
また、打継処理確認のためコア―を採取することもある。
4) 少量(例えば200立方メートル以下程度)の盛土工事の場合、密度管理を省略できないでしょうか。
(土木)
施工計画で施工方法・管理方法を明確にし、監督員と協議してもらいたい。
(農水)
土木部と同じ。
5) 法面工等の出来型管理は出来形(展開)図とし、1‐1様式を省略できないでしょうか。
(土木)
法長・勾配等の管理は1‐1様式が必要である。
展開図を作成する場合、設計計上数値は管理(実測)数値を丸めたものとする様に願いたい。
(農水)
土木部と同じ。取り合い部は展開図で良い。
6) 「カーブの多い山間地」での平坦性試験の「省略」の基準を指導願います。
(土木)
測定機の性能限界を超える場合と考えるので、その場合は監督員と協議願いたい。
(農水)
土木部と同じ。
7) 熟成度及びテストハンマーについて
当技士会の実験結果(別添資料)も参考にしていただき、実施基準の再検討をお願いします。
(土木)
今年度は困難であるが、次年度に課題として検討する。
(農水)
土木部と同じであるが、山間部の工事もあり、テストハンマー管理は必要と考えている。

▲TOP

2. 工事成績評価要領について

1) 評価結果は、評価項目全部の通知をお願いいたします。
(土木)
通知範囲を検討中である。
検査平均点はH14年度82.5点に対しH15年度上半期は76.4点であった。
(農水)
土木部と同じである。
検査平均点はH14年度81点に対しH15年度上半期は72〜73点であった。
2) 休日作業も工事成績評価の項目になっていますが、休日作業を行わざるを得ない事情(気象・海象条件、変更・協議等の工程阻害条件)を考慮して、評価する様お願いします。
(土木)
監督員評価項目であり、監督員にアピールしてもらいたい。
(農水)
土木部と同じであるが、手続き・協議等が行われていれば考慮する。
3) 工期延長の理由を適格に評価する様お願いします。
責任が無い場合でも、請負業者が工期延期願を書かされる場合があります。
工程管理の適切性は、実態と対応を評価するようお願いします。
(土木)
工期変更に関する協議書は、契約約款・仕様書に基づいて提出願いたい。
請負者の責に帰さない工期延期等によるマイナス評価は行っていない。
(農水)
土木部と同じである。
4) 高度技術及び難易度評価は、事後どのように利用するのか、ご教示願います。
(土木)
現在のところ具体的に設定していない。
(農水)
土木部と同じである。難易度評価は行っていない。
地元業者の受注工事規模ではあまり関係なく、14点減を余儀なくされる。
高度技術が工事規模に比例するという観点には疑問があります。
(土木)
全て評価されなくても5.6点減である。
高度技術は工事規模に比例しない。
(農水)
土木部と同じである。
5) 加点項目は工事規模・環境・内容により評価する様お願いします。
(土木)
評価は公平に行っている。加点項目の評価事例(上半期検査・6000万円以上)を提示する。(別紙-1)
(農水)
土木部と同じである。
6) 下限管理値管理項目での仮上限設定では、舗装維持工事などで仮設定値を上回る場合が発生します。仮設定方法は工種により変えても良いではないでしょうか。
(土木)
施工計画立案時に監督員と協議して、管理方法を決定すること。
(農水)
土木部と同じである。
7) コンクリートのクラックは、その原因を明確にして、技術的に評価するべきと思います。クラックがあるからというだけでの評価は疑問です。
(土木)
施工計画立案時にクラック防止についての取組みを十分検討願いたい。
また、発生時には原因究明・処置対策を実施するよう願いたい。
取組み努力を評価するが、重要構造物のクラックは減点となる。
(農水)
土木部と同じである。
8) 評価者の差が出ないシステムと理解しますが、結果以上に施工プロセスでの課題解決を評価するようお願いします。また、総括監督員の現場への関与あるいは施工技術者との接触を強化することをお願いします。
(土木)
監督員40・総括監督員20・検査監40の持分であり、プロセスを反映していると考えている。
(農水)
土木部と同じである。総括監督員の現場点検等を実施している。

▲TOP

3. 設計及び設計変更について

1) 設計照査について(共仕1‐1‐3設計図書の照査等)
* 現場調査とともに応力計算・変更図まで要求される事がありますが、「設計照査」の請負側業務範囲を明確にする様、ご教示願います。
* 「設計照査」期間の工期算入と経費計上を願います。
現場不一致で施工が出来なく、着手後3〜4ヶ月経過後も進展しない
工事があります。工程圧迫及び照査経費負担が大きくなります。
着手前の外部要因による問題では「管理」が出来ません。
設計の責任を明確にする様お願いします。
例) 受注後の土質調査で不一致が判明。変更のため休工状態。
例) 用地が解決せず、着手できない。
例) 埋設物(情報管)の対応指示が出ない。
例) 支障木伐採の別途業者が未施工のため着手が遅れた。
(土木)
 <工期延長について>
契約約款18条第2項に「監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは、乙の立会いのうえ直ちに調査を行わなければならない。」とあり、さらに、第3項に、「甲は乙の意見を聴いて調査の結果をとりまとめ、調査の終了後14日以内に結果を乙に通知しなければならない」とあります。やむを得ない理由がある場合は乙の了解の上で当該期間を延長します。
<経費計上について>
契約約款第20条により工事の全部又は一部の施工を一時中止させた場合、乙が工事続行に備え現場を維持若しくは資機材を保持するための費用が増加したり、乙に損害を及ぼしたことが判明すれば、甲は必要な負担をしなければなりません。
「照査」に必要な費用は、通常の施工管理に必要な費用として共通仮設費の「技術管理費」として積算していますが、通常必要な品質管理を超える試験の実施費用等(品質管理基準にないボーリング調査など)については別途積算する必要があります。
2) 設計変更について(標準約款第18条・19条)
* 請負業者の設計変更に関わる業務責任範囲をご教示願います。
現状は、調査・変更設計(計算書等含む)・図面作成などすべてを請負業者が行っています。
(土木)
土木工事共通仕様書1-1-21により、請負者は出来型測量の結果を基に出来型数量を算出し、設計図書に従って完成図を作成することになっています。これは、いわゆる最終精算変更契約の図面と同じものになります。監督員は、提出された出来型数量や完成図を用いて設計図書を変更することになります。
* 年度末の増工で工期延長は認められず、残業を含めた経費負担や技術者の衛生管理問題(残業200h)が発生しています。
工期変更も考慮願います。
設計に対する発注者と請負者の責任区分を明確にする様お願いします。
(土木)
契約約款21条により乙の責めに帰することができない事由により工期内に工事が完成することができないときは、甲に工期延長の請求をすることができます。
単年度会計主義により年度末間近になると容易に工期の延長が出来なくなってしまいます。そのような場合は監督員よりその旨の連絡があると思いますので、普段に増しての工程管理の徹底と、工程がずれた場合には監督員へ早期の連絡をお願いします。連絡が早いほど工期延長も容易になります。
それとは別に、出来型数量や完成図の作成は工事の最終段階で作成するものですが、全ての書類を最後に作成する必要はなく、工事の段階に応じて作成できる資料も多いと思います。現場での実際の作業工程だけでなく、自らの業務についても工程表を作成し、無理をする必要のないよう自己管理してください。
設計変更にかかる資料作成については発注者の責任と考えています。また指示、及び発注者が行う場合の承諾、協議、通知の行為に要する費用並びにこれに添付すべき資料の作成に要する費用についても同様です。
逆に、工事施工中の提出、提示、報告、及び受注者が行う場合の承諾、協議、通知の行為に要する費用並びにそれに添付すべき資料の作成に要する費用については受注者が負担するのが原則と考えています。また、これらの行為により作成された資料が設計変更に係る資料として利用されることもあります。
現在、委託設計の瑕疵を防止するために、設計コンサルと施工者を交えた協議会の開催を検討しています。
* 協議に対して、速やかに文書での回答を様お願いします。
変更の指示は、協議書に記述するか、指示書の発行をお願いします。
(土木)
現場不一致対策や円滑な工事施工のために、契約約款・仕様書にもとづく協議・資料を各施工段階で適切に提出願いたい。
協議等は全て文書で行うように指導しているので、監督員と協議願いたい。
工期延長は、仕様書にもとづいて行うので、監督員と協議願いたい。
(農水)
土木部と同じである。繰越については12月に準備するので早めの協議を願いたい。
また、協議等は、仕様書にもとづいて文書で提出願いたい。

▲TOP

4. 入契法について

1) 一部事務所で法以上の要求(下請け総額3千万未満の施工体制台帳等提出)があります。法に基づく運用と、県下統一をお願いします。
(土木)
下請け総額3千万未満でも整備するよう指導している。
検査評価項目であるので、提出すれば評価する。
(農水)
土木部と同じである。
2) コリンズ登録について弾力的な運用をお願いいたします。
* 先行する別件工事完成まで着手できない場合は、コリンズ登録を猶予
出来るようご検討をお願いいたします。(着手前○日以内等)
(土木)
「専任を要しない期間」について、発注者の承諾を得て対応願いたい。
(農水)
土木部と同じである。
* 計変更のために完成届が提出できず、技術者の解除が出来ない場合があります。変更手続きに時間を要する場合は、完成届の受理が出来るようにして、配置解除出来るよう、ご検討をお願いいたします。
(完成検査終了までを配置期間とする文書があるようですが、設計変更の遅延は請負業者の責任ではなく現実的でないと思います。)
(土木)
設計変更は適切に行うよう指導している。
早めの関係書類提出を願いたい。
(農水)
土木部と同じである。
3) コリンズ登録の技術者経歴が、属性として所属会社に縛られています。
技術者の流動化・会社倒産等に対応できるよう、登録制度の改正を働きかけるようご検討願います。
(土木)
機会があれば働きかけを行う。
(農水)
土木部と同じである。
4) 技術者の兼務についてご検討願います。
砂防工事で、上下の工区の兼務は認められていますが、急傾斜工事の横の工区の兼務は認められていません。
上下と横の工区分割で、管理上の差異があるとは思えません。
同一の技術者が管理することが、円滑な管理が行われるのではと思います。
(土木)
単に上下・横の区分ではなく、工程・施工順序・仮設条件等を勘案して認めている。
(農水)
土木部と同じである。
5) 公募型入札の業者選定は、客観点数及び主観点数による総合評価点数を条件とする様ご検討願います。
経営審査点数では、個人及び企業の保有する技術力の評価が困難と思います。
(土木)
公募型は同種工事実績・工事成績・「格付け」等を勘案して対象業者を選定している。
格付けは4段階であり、格付け評価時点で工事量・工事成績・ISO等の主観点数を考慮している。
(農水)
土木部と同じである。等級区分は今後検討する。

▲TOP

5. VE提案・ISO適用制度について

VE提案及びISO制度の試行が実施されていますが、今後の方向及び下記事項についてご教示をお願いいたします。

1) VE提案採否基準を公表願います。
(土木)
VE検討委員会で採否を決定する。VEはコストダウンを目的としているが安全性も評価している。
(農水)
土木部と同じである。
2) VE提案事例の資料公開をお願いします。
対象工事件数・提案件数・採用件数・非採用理由例・コストダウン金額(平均)
(土木)
H14VE 公募型(入札後) 一般競争(入札時)
対象件数 89 7
提案件数 4 0
採用件数 3 0

提案は仮設関係が多い。
入札時VEは、提案期間が短いため応募が少ないと考えている。
(農水)
H12.4月以降 入札後VEを実施している。
対象100件 提案2件 採用1件
採用のコスト低減は150万円である。(ファームポンドPC緊張方法)
不採用理由には、「設計時点で検討すべきであった」というものもある。
3) VE提案制度についての意見
* 制度適用外工事での創意工夫・提案によるコスト改善は単に減額変更とされています。今後VE制度を推進するのであれば対象範囲と運用を拡大する必要があると思います。
* 単に工事コスト削減対応だけでなく、工期短縮・環境配慮等もVE対象としたほうが有効と思います。
早期供用は県民の利便性即ち利益と思います。
* 窓口で却下されるのでは、積極的取組の動機付けにならないと思います。
(土木)
簡易型VEなど今後も検討をしていく。
(農水)
制度を検討するが、積極的な提案を願いたい。
4) ISO実施例と管理メリット等評価の公表をお願います。
(土木)
H14:5件 H15:13件 で実施した。
モデル工事アンケートには次のような回答がある。
県: 立会は減少したが、現場に臨場する機会も減るため経験不足になる恐れもある。
請負者: 自主管理施工が出来るため、工程管理が楽になった。
書類が多くなった。
ISO認証業者の信頼性を検討している段階であり、準用工事だけではなく全ての工事で取り組むように願いたい。
(農水)
H14:2件 H15:5件 で実施した。
評価はまだ行っていない。

▲TOP

6. 工事管理について

管理方法等下記事例についてのご教示をお願いいたします。

1) 労基署指導の安全設備は変更対象とする様ご検討願います。
(土木)
現在の積算体系は、工事を安全に施工するために、必要な足場、支保等の設備の設置に付いて必要にして十分なものとなっていると理解しています。特殊なものについては、図示し、必要に応じて設計計算書も添付し、積上げ積算しています。それでもなお労働基準監督署の支持を受けたような事例があるとすれば、個別に監督員と協議する必要があります。
(農水)
必要性を検討し判断している。
2) 現場不一致が多いため工程に支障しています。コンサルタント成果の厳正審査をお願いします。
(土木)
前出(3)の回答のとおり、コンサルタントを交えた会議の開催を検討している。
(農水)
課題は認識している。対策として次の事項を実施している。
* 委託成果を総括監督員・主任監督員・監督員等複数で審査。
* チェックリストによる審査実施。
* 重要構造物は設計照査要領でチェック。
* 重要構造物の施工検討会(コンサル・施工者も参加)開催。
* 職員の技術研修会実施。
3) 安全訓練は、準備期間等で現場作業が無い場合は、省略できないでしょうか。
(土木)
社内での安全訓練・会議でも良いので実施し、記録を提出すること。
(農水)
事故防止が目的であり、何らかの安全訓練を実施すること。
4) 提出頻度で写真を整理・提出したところ、少ないという評価でした。
上乗せ基準があるのでしょうか。
(土木)
基準どおりで良い。提出写真は工事を評価するのに十分なものとする様、内容を検討願いたい。
(農水)
土木部と同じである。
5) 耐震補強アンカー工事は、既設鉄筋が不明のため余分な削孔が発生します。
この充填補修については是非、変更対象とするようお願いします。
また、プレート製作は、削孔完了後となるため工期設定には十分な配慮をお願いいたします。
(土木)
十分な事前調査(資料確認・確認試験等)後の施工であることを前提として、変更対象とする。計上方法は今後検討する。
(農水)
土木部と同じである。

以上

▲TOP

Copyright(C) 一般社団法人静岡県土木施工管理技士会. All Rights Reserved.